クローン技術の安全性 4
第1に、これまでまったく事故がなかったことです。
遺伝子工学に起因する感染性のガンや悪疫が発生しなかったというだけでなく、単なる病気や環境破壊もありませんでした。
研究を先に進めておいて、何も起こらなかったから安全であるというのは、いささか無責任にすぎるともいえますが、初期の研究はすべて、密閉した実験室の中で、厳重な管理のもとに行われたという事実を忘れるべきではありません。
つまり、はっきりしたことがわかるまで、誰もそこから踏み出そうとしなかったのです。
炸裂する可能性を秘めた爆弾のように、遺伝子工学は、それが爆発しないことを誰もが納得するまで、外界から隔絶した密閉実験室の中で注意深く見守られたのです。
これは、原子力、マイクロエレクトロニクスといった他の新興L業分野ではほとんど見られない驚くべき事実でした。
しかし、1世紀以上にわたり危険な細菌と格闘し、優れた細菌管理手法を開発してきた微生物学者にとっては、それほど驚くことではありませんでした。
実際、徴生物学者は、当初、組換えDNA技術をめぐる騒ぎに当惑しました。
それまで狂犬病や天然痘など、現に存在する危険と戦わねばならなかった彼らにとって、このような推測上の問題に対する懸念はかなり行き過ぎのように思えたのです。
そして、経験を経て、彼らが正しかったことは証明されました。